【6-8】ローカル・コモンズで無駄な資源消費を抑止
ジェイソン・ヒッケル氏は「資本主義の次に来る世界」(東洋経済新報社、2023年)の中で、地球規模の生態系崩壊と炭素排出量の増加のほぼすべての原因は、「成長そのものを追い求める資本主義」のもとで行われる高所得国の過剰な成長、とりわけ超富裕層による過剰な蓄財にあると指摘し、「人間の具体的な必要を満たすためでも、社会的な目標を達成するためでもない」資本主義の無理筋と反民主性を厳しく糾弾しています。主要な論点を以下に紹介します。 【過剰な所得が過剰な資源消費に直結する背景】・1990年以降、富裕国はGDPが伸び続けているにもかかわらず、国内物質消費量が減少しているのは、消費する輸入材の生産をほとんどグローバル・サウスにアウトソーシングしているためであり、それらを包括する「マテリアル・フットプリント」は、この数10年でGDPの成長率を上回るほどの勢いで劇的に増加している。・富裕国のGDPにサービス業が占める割合は、1990年代に脱工業化が始まってから急速に増加し、現在では74%を占めているが、同じ期間に資源消費量も加速しているのは、サービス業で得た収入が、豪邸、大型車、プライベートジェット、頻繁なフライト、外国での休暇、贅沢な輸入品など大量のエネルギーを消費する有形財の購入に充てられているためであり、サービス業自体が資源を大いに必要としているためだ。・同じ量の燃料を得るために、より多くのエ
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