日本経済新聞2023年4月7日付夕刊で、2021年1月から2023年1月の間の、日本の労働者の実質賃金の動向が紹介されている。2022年1月頃までは、名目賃金と実質賃金はほぼ同方向に変動している。ところがそれ以降、つまり、今次(2022年初頭以降の)インフレの進行において、趨勢として、名目賃金と実質賃金は逆方向に変動している。前者には情報トレンド、後者には下降トレンドが発生している。それは、名目賃金の上昇率をはるかに上回るインフレ率が実現しているからである。2022年初頭以降、実質賃金と名目賃金の乖離は次第に大きくなり、実質賃金の伸び率はこれ以降マイナスで、実質賃金は下落していく。2022年の年央以降、経済活動は再開し名目賃金は上昇したが、消費者物価の上昇率には及ばない状況が持続している。理論的に、インフレ経済で、名目賃金と実質賃金の乖離が拡大していくような経済は悪いインフレであると言われているが、これがインフレの実像であるとも言える。良いインフレなどはまれでしかない。今回は、この問題を単純な理論的モデルで分析し、実質賃金の不安定性を明らかにしていく。核心はこの不安定性にある。続きをみる
Source: Note 起業ニュース
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