統制型人事から開かれた人事への展開
その1 「統制」の人事「人=従業員」が好き勝手に働いてしまっては、組織として成果を生み出せない。だから人事は、経営者に代わって管理者と協力して統制する役目を負う。また一方で統制には「経営者から従業員を守る」という意味もある。経営者はその権限の大きさから、経営上の収益を優先し、人をモノのように扱ってしまうリスクが発生する。場合によっては無理強いをしたり、懲戒処分や解雇なども行う可能性がある。こういった強引な経営決定から従業員を守ることも人事の重要な役割である。このような人事の重要な役割は、「終身雇用」「年功序列」「企業別労働組合」という日本的経営の特徴であるとともに数十年経てもなお依然として要求され成立さているものである。キャッチアップの時代には「従業員の確保」が人事の命題であった。「従業員を長期に雇い入れる」という雇用慣行は、安心して働き続けられる環境づくりとリセットになる。具体的には、手厚い福利厚生や年功的賃金など勤続年数が長いほど増えていく感じである。また生え抜きの次期経営者をそだてるために情報を人事と経営に集中させるという「キングメーカー」としての役割も同時に繋がっている。こういった強い統制をしていく事が環境要件に適合していたといえる。一方でバブル崩壊後、人件費が一番かかることからリストラや雇用条件の変更を余儀なくされた。そういった環境変化の中で人事は経営者と労働者の間に立っ
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