会社法事例演習教材 第1部演習5
第1.小問(1)1.私は、P社が近畿圏で家具の製造・販売事業を開始する案には、P社取締役BがQ社のために行う取引が競業取引(会社法356条1項1号)となるという問題があると回答する。(1)競業取引とは、会社が実際にその事業において行っている取引または行おうとしている取引と 目的物と市場が競合する取引をいう。P社は近畿圏で家具の製造・販売事業を開始する意向である一方、Q社は 京都府における家具の製造・販売を主な事業目的としている。そうすると、Q社代表取締役でもあるP社取締役Bが Q社のために行う取引は、P社が新たに行おうとしている事業における取引と 家具という目的物 と 京都府という市場が競合するといえる。したがって、上記案が採用された場合には、BがQ社のために行う取引が競業取引となるという問題がある。(2)取締役会設置会社の取締役が競業取引を行う場合には、当該取締役は 取締役会において、当該取引について重要な事実を開示したうえでその承認を受けなければならない(会社法356条1項柱書、365条1項)。そして、取締役が競業会社の代表取締役となる場合には、当該競業会社の代表取締役として競業取引をなすことが当然に予定されていること 及び その競業取引について逐一承認を得ることは現実的でないことから、当該競業会社の代表取締役に就任すること又は代表取締役であり続けることについて包括的な承認を受
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