貿易大国日本の「海運の歴史」を伝える日本郵船歴史博物館
企業ミュージアムは、「ミュージアム」というアカデミックな領域と「企業」というビジネス領域の両方にまたがるバッファーゾーンにある。そして運営を担う企業の広報、ブランディング、宣伝、人事などと多様に連携する組織である。本連載では、企業が手掛けるさまざまなミュージアムをPRのプロフェッショナルが紹介し、その役割や機能、可能性について紹介していく。
日本の海運業をリードしてきた日本郵船。同社は一企業の歴史にとどまらず、日本の海運産業の歴史資料を保存・公開し、海事思想の普及に努めるため日本郵船歴史博物館を運営している。本稿では、地域コミュニティの一員として産業観光の場としても地域社会へ貢献する日本郵船歴史博物館の取り組みから、物流というものの本質と意義に迫りたいと思う。
取材と文:櫻井暁美(電通PRコンサルティング)
日本郵船歴史博物館は、横浜の景観を彩るルネサンス風コリント式列柱の建築物の中ある。(写真提供:日本郵船歴史博物館)
みなとみらい、桜木町駅から弁天橋を渡って海岸通りを進み、山下公園通りを通り、山下ふ頭、元町、港の見える丘公園、山手西洋館を巡る散歩道は、横浜観光のモデルコースだ。シンボリックな三つの塔のうち、キング(神奈川県庁)、クイーン(横浜税関)が並ぶ海岸通りの一区画に泰然と立つのが、今回ご紹介する日本郵船歴史博物館だ。「海
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