アスリートブレーンズ為末大の「緩急自在」vol.14
為末大さんに「いま、気になっていること」について、フリーに語っていただく連載インタビューコラム。唯一、設定したテーマは「自律とは何か、寛容さとは何か」。謎の「聞き手」からのムチャ振りに為末さんが、あれこれ「気になること」を語ってくれます。さてさて。今回は、どんな話が飛び出すことやら……。乞う、ご期待。
──前回、前々回と「ありがたみとは、何か?」というテーマで話を伺ってきましたが、今回はいよいよ「現代にとって、ありがたいものとは何か?」ということについて切り込んでみたいと思います。震災やコロナ禍を経験する中で、僕らは今、「人生にとって、本当にありがたいものとは、一体何なのか?」ということを、深く考えさせられていると思うんです。
前回のお話の続きで言うと、「当たり前のように思っていたものが、実は当たり前なものではなく、とてつもなくありがたい(有り難い)ものなんだ」という……。
為末:ありがたいの本質は希少性にある、と申し上げましたが、実は希少性だけではないんだと思います。抽象的な言い方をすると「有限性(刹那性)」や「独自性」に気付かされる、みたいな。つまり、この感動は永遠のものではなく、誰もが手に入れられるものでもなく、今、この瞬間、自分だけが味わうことのできるものである、ということ。
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