SNSがもたらした情報の広がり方をモデル化する
本連載では、書籍『SNS変遷史「いいね!」でつながる社会のゆくえ』(イースト新書)の出版を記念して、その一部内容をダイジェスト化してお届けします。
第1回:三大SNSの特性と支持を得た理由
第2回:SNSで情報を探す時代へ:「ググる」から「タグる」へのシフト
第3回:イノベーションとしての「いいね!」と模倣の原理
前回は、SNSにおける最重要概念としての「いいね!」や「模倣」について考察し、情報行動のキーワードとして「シミュラークル」を挙げました。
今回は、SNSがもたらした情報の広がりをモデル化するための試みを、「シミュラークル」に則りながら考えていきます。
なぜシミュラークルが起こるのか:モノからコトへの価値シフト
シミュラークルとは、SNSにおいて、誰が始めたのか分からないが、みんながまねをし始めてしまうようなビジュアルのイメージ(写真や動画、あるいはその他の記号)と、筆者は定義している。
社会学者のロジェ・カイヨワ氏は、遊びの4要素の一つに「模倣」を挙げていている。ままごとやモノマネなど、模倣の楽しさや気持ちよさは、私たちの本能に近い領域に備わっている志向性だと考えられる。
筆者の考える「シミュラークル型の情報拡散」は、まさにそのような模倣の原理と、SNSの情報の広がり方との接合性に注目したコンセプトだ。&n
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