「Deep Medicine」という本をようやく読み終えた。集中して読む時間が確保できず、長時間かかってしまったが、最後の「Deep Empathy」の章が印象に残った。人工知能(AI)を利用した医療が進むであろうことを紹介した本だが、最後の部分は私が今の日本に医療に対して警鐘を鳴らしている「患者を診ない医師」に関しての批判だった。
Deep Medicine: How Artificial Intelligence Can Make Healthcare Human Again
病気を診て、病人を診ない医療が問題視されて久しい。Empathyを英和辞典で調べると「共感」「感情移入」と出てくるが、この本で述べていたEmpathyは「患者さんの立場になって考える気持ち」と説明するのがわかりやすいだろう。
前にもこのブログで取り上げたことがあるが、腹水が溜まっているにもかかわらず、画像を見るだけで、数か月に渡って患者さんの腹部に一度たりとも触れなかった医師が、国立がん研究センター中央病院にいた。患者さんが、私が紹介した医師に、優しい言葉を投げかけられて腹部の触診を受けた時に、心が癒されたとの連絡があった。医療で重要なことは、患者さんが医師を信頼し、それによって心に落ち着き・安らぎを持つことだ。
写真AC:編集部
医療現場から、医療でもっとも重要な人と人との信頼関係が失われている。
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