笹川平和財団が発表した「プルトニウム国際管理に関する日本政府への提言」が、原子力関係者に論議を呼んでいる。これは次の5項目からなる提言である。
プルトニウム国際貯蔵の追求:「余剰」なプルトニウムを国際原子力機関(IAEA)の管理下におく。
現在の国際規範である国際プルトニウム管理指針の強化:日本の原子力委員会の決定に基づき既存在庫量の削減を新たな国際規範として提言し、再処理を抑制する。
既存の在庫量削減に向けての国際協力:処分のための国際フォーラムを設置する。
使用済み燃料管理として「乾式貯蔵」を最優先にすすめ、核燃料サイクルの選択肢評価を第三者機関が実施する。
プルトニウムの新たな国際規範を世界に普及すべく主導的役割を果たす。
鈴木達治郎座長(右)と笹川平和財団の田中伸男会長(財団ウェブサイトより)
この提言の背景には、高速増殖炉(FBR)「もんじゅ」が挫折し、核燃料サイクルの見通しが不透明になった状況がある。日本の保有するプルトニウムは47トンに達するが、これを消費するプルサーマル原子炉の増設も困難になり、青森県六ヶ所村の再処理工場を稼働させると、そこで生産されるプルトニウムの行き場がなくなる。
この提言は、日本にある余剰プルトニウムをIAEA(国際原子力機関)の管理下に置くとともに、これから出てくる使用ずみ核燃料を乾式貯蔵で直接処分するオプションを認めようというものだ。
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