2018年8月9日、特許庁は庁内にCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)として統括責任者を設置し、その下に「デザイン経営プロジェクトチーム」を立ち上げることを発表した。これは、中央省庁が行政サービス向上のためにデザイン思考を本格的に取り入れた初の例である。
米国を起点として提唱されてきたデザイン思考は、日本においてもここ数年間でその認知度を高めてきたが、これまでその活用を積極的に行ってきたのは民間企業であったように感じられる。
2010年頃から日本においてもデザインコンサルティングファームの参入、もしくは設立が増加し始めたが、彼らの主なクライアントはこれまで民間企業に偏っていた。このような偏りが発生した原因はおそらく、公の機関がデザイン思考のような馴染みのない概念を導入するとなると、職員一般の間での理解・共感の不足、牽引するリーダー人材の不在、また各種規制との兼ね合いなど、公共機関特有の問題が数多く存在するためであると考えられる。
デザイン思考は影響範囲の広い公共機関にも生かされるべき
振り返れば、民間企業が2010年代前半からデザイン思考を取り入れ始めていたのに対し、特許庁の例から分かる通り、中央省庁など公的機関では7〜8年遅れて導入されている。
しかしながら、デザイン思考の本質は「ユーザー起点で問題解決をする」ことであり、この点、そのユーザー・提供するサービスの幅が極めて広い公
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