政府は、3月15日に、行政手続きを電子申請に原則統一するデジタルファースト法案を閣議決定した。政府は今国会での成立を目指している。この動きを歓迎したい。
わが国では依然として紙中心の文化が続いている。行政手続きの際に戸籍謄本や住民票の写しの添付を求められることが多いのが、その象徴である。住民票のコンビニ交付は行政窓口に出向く時間を節約するが、そもそも行政組織間で戸籍や住民票の情報を相互参照できるようにすれば、コンビニ交付の大半は不要になる。
本人の意思を確認する方法として書類に印鑑を押すように求めるのも古めかしい。先日も書いたように、印鑑には他人が勝手に捺印する「代理決裁」の危険がある。
「確定申告書の記載例」(国税庁サイト)
確定申告の際、さまざまな書類の情報を手入力するのに手間がかかる。たとえば寄附控除。国境なき医師団などへの寄附が控除の対象だが、確定申告の際には、寄附先の組織名・住所・寄附額などを手入力し、そのうえ寄付先からの領収書を紙で添付しなければならない。
しかし、寄附先では寄附者の情報はすでにデータ化されているのだから、寄附先がデータを国税庁に送信しておけば納税者による手入力は不要になる。医療費控除も同じ。健康保険組合にはレセプトデータがあるから、それを国税庁に送信しておけば、納税者は通院のための交通費などの必要経費とハリ治療などの保険外費用だけを手入力すれば済む。
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