書評「残業学」
残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? (光文社新書)
ネットではしばしば以下のような論調が目にとまる。
「日本の残業時間が長いのは会社が無理やり働かせているから」
「日本人は勤勉だからついつい残業してしまう」
「残業手当を割り増しさせれば、残業を抑制することが出来る」
こういうステレオタイプな先入観にロジカルにダメ出ししてくれるのが本書である。
たまに「日本には労働時間の上限が法で定められていない」という人がいるが、それは間違いだ。労基法にはちゃんと法定労働時間が書いてあるが、労使が特別な協定を結んでそれを超過して残業できるようにしているというのが実情だ。経営側はともかく、労組はなぜ強力するのか。それは“残業”が組合にとっても大きなメリットがあるためだ。
日本企業は景気が悪くなった時、人を切るのではなく労働時間を減らして対応していたのです。つまり「景気が良い時は残業し、悪い時は残業を減らす」といった形で、人員の代わりに残業時間を調整用のバッファとして活用することで、外部状況の変化に対応してきました。
残業に協力することで、終身雇用が保証されるというわけだ。また日本の賃金制度自体にも残業を慢性化させる遺伝子が組み込まれている。
一般に日本以外の多くの国では「ジョブ型」という雇用システムがとられています。これは、雇用契約時に結ぶ「職務記述書」という書類によって
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