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今年のお正月も、わが家にはふたつのお雑煮が並びました。すまし汁に角餅の東京式と、白みそにあん餅の高松式。いつまでも譲り合うことのない、2杯。すべてがいつも通りの平和な日々でした。



そういえば、あれは2003年の元旦だったでしょうか。わが家の留守電にメッセージが入りました。電話をくださったのは前年、ノーベル物理学賞を受けられた小柴昌俊さん。母がそのお祝いを伝えるために送った40年ぶりの年賀状をご覧になって、連絡をくださったのでした。

今年85歳になる母は、戦後、ピアノを学ぶためにニューヨーク州にあるロチェスター大学イーストマン・ミュージックスクールに留学しました。当然のことながら経済的に厳しい貧乏学生でしたが、時はまさに1950年代の「古き良きアメリカ」。たくさんの楽しい思い出に恵まれました。











ちょうど同じ頃、ロチェスター大学の博士課程に留学なさっていたのが小柴さん。まだ少なかった日本人留学生同士、時々みんなで集まって遊んでいただいていたそうです。

ノーベル賞のニュースを聞いた母が「小柴さんは古いお知り合いでね、とてもユーモアがある方なの…」なんて言っていたのをホラ話しと聞き流していたのですが、本当だったんですね。その後ぼくも一度だけ、母の付き添いで小柴さんにお目にかかれましたが、つくづ

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