著者の姫野桂さん
ライターの姫野桂さんは今年8月、発達障害の当事者22人の半生を追った『私たちは生きづらさを抱えている』(イースト・プレス)を出版した。姫野さん自身が医師を訪れ、「LD(学習障害)が強い」、「ADHDとASDの傾向もある」と指摘されるまでのレポートも収録したこの本は、各所で反響を呼んだ。
そして12月27日、新たに『発達障害グレーゾーン』(扶桑社)を刊行する。発達障害への理解が進む反面、陰に隠れがちだった「グレーゾーン」と呼ばれる人々の実態を、当事者、就労支援団体などへのインタビューを通して可視化したものだ。本書を書くに至った理由、新刊に込めた思いなどを聞いた。
グレーゾーンの人は「手帳取得者よりSOSを上げづらい」「支援が一番届いていない」
姫野さんは、ジェンダーや貧困などの社会問題を取材する過程で、貧困者に発達障害のような特性を持つ人が多いことに気づいた。さらに発達障害の当事者に話を聞いていくうちに、「グレーゾーン」の存在を知ることになる。
「発達障害の疑いがあって病院に行ったのはいいけれど、『傾向がある』とだけ言われて診断がおりない人たちがいます。その人たちは、精神障害者手帳を取れるわけでも、障害者雇用を受けられるわけでもない。でも、仕事も人間関係も上手く行かなくてどうしたらいいんだと悩んでいる。支援の手が一番届いていない人たちだと分かってきました」
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