老舗の人材育成術
「御菓子所両口屋是清」大島千世子さんを訪ねる名古屋の旅。根っからのドラゴンズファンとしては、ドラフト1位根尾昴さんの出身地、飛騨のお酒で乾杯した夜も最高でしたが、何よりあまり聞く機会のない、老舗の人材育成に関するお話が興味深かったです。そしてそれは「感覚の共有」「現場にまかせる」「10年単位で」という、大きく三つのポイントがありました。
来年の干支「亥」
洋菓子の世界がパティシエ「個人」の味で勝負するのに対し、和菓子は良くも悪くも「屋号」の味。つまり前回コラムでも話題になった「両口屋是清らしさ」が大切です。和菓子はまた「五感の芸術」とも言われるので、レシピを正確に再現するだけでは表現しきれない伝統をどうやって継承するのかがポイントになります。
そんな時。かつては職人さんが「先輩の技を盗む」「背中から学ぶ」というやり形が一般的でした。さすがに昨今は「ちゃんと言葉で、丁寧に教えていますよ(笑)」ということですが、いまも昔も、菓子学校などの色がついていない真っさらな人材を長期にわたって雇用することで、じっくり「感覚の共有」を図っているそうです。
「雅」
ふたつ目は「現場に任せる」という点です。ぼくが勝手に想像する老舗は、頑固な主人や職人頭がトップダウンで何をつくるか指示して、現場はひたすら作業をこなすイメージでした。
しかし
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