今の野党は弱すぎる、という論をいくつかの新聞やテレビで見聞することがある。曰く、野党は安倍政権にとって代わる政権構想を持っていない、と。あったとしても、野党の意見はすぐにバラバラになるという。
どうやら、どの野党も期待のしようがなく、そのため支持率が極端に低いのだ、ということらしい。これらの論調に通底していることがある。それは、安倍内閣は森友、加計問題を引き起こし、本当なら倒れてもおかしくないのにやりたい放題だ、ということだろう。もっといえば、かつての社会党も政権構想を持っていなかった、だから政治の緊張感が乏しかったのだ、とも述べている。
しかし、僕はこういう見方は、まったくの間違いだと思う。
若い頃の僕は、野党に興味がなかった。自民党こそが主流だと思っていた。その自民党の中にも主流、反主流があって、ひっきりなしに論争が起きていた。そこにはリアリティがあり、それがダイナミックだった。
かつては、自民党の総理が変わるのは、野党との闘いに敗れてではない。党内の主流、反主流の闘いに敗れてであったのだ。岸信介、田中角栄、福田赳夫、大平正芳、宮澤喜一……。歴代の首相も、そうであった。
だが、現在は違う。選挙制度は、中選挙区制から小選挙区制に変わった。そのため、自民党の国会議員はいずれも執行部のイエスマンになってしまった。中選挙区制と違い、小選挙区は1選挙区に候補者を1人しか立てられないからだ
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