菅官房長官は21日の札幌市での講演で、大手携帯電話会社は巨額の利益を上げているとしたうえで「競争が働いていないと言わざるを得ない」とし、「携帯電話料金は、今より4割程度下げる余地がある」と言及した(ロイター)。
携帯料金の引き下げ自体は、個人的には歓迎であるが、この発言についてはいくつか疑問がある。
ひとつはアベノミクスと呼ばれた物価2%達成を目指した政策と相反するという点である。アベノミクスの前提にあるのは、物価目標は日銀の金融政策で可能であるという意見を鵜呑みにした政策であったが、結局は物価目標は達成できていない。これはつまり金融政策で物価を自由にコントロールすることは困難であるということをむしろ示したものとなる。
消費増税によって物価は上がらなかったというのであれば、金融政策の効果を増税が簡単に阻害してしまうということになってしまう。そうであれば、アベノミクスの金融政策は万能という前提も崩れることになるのではなかろうか。
もし携帯料金が40%値下げ、一律に引き下げが実施されたと仮定した場合、最大でコアCPIを約0.9%ポイント押し下げるとの試算もあるそうである(ロイター)。
そうであれば金融政策ではなく、携帯料金を大きく引き上げればあっさり2%は達成できたのではないのか。金融政策は万能薬でも何でもない。物価は現場で上げ下げされる。
アベノミクスとはいったい何であったのか。我々
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