銀行のリスクテイクを突き詰めると銀行廃業になる
企業の経営リスクは、最終的には、自己資本によって吸収される。株主は、企業が自己の本源的リスクテイクを自覚的に遂行すること、そして、そのリスクテイクがリスクに応じた利潤を生むことを前提にして、投資している。企業の本源的リスクテイクは、事業の性質に応じた自己資本の厚みを要求するから、適正なる利潤は、資本の厚みに対する利潤率の問題として、その達成が企業経営者の責務とされるのである。
そして、その経営の責務を果たすためには、更に、本源的リスクに付随するリスクについて、資本に非効率な負荷がかからないように、適正に制御することが必要であり、また、本源的リスクテイクからの逸脱がないように、経営理念が揺らぐことなく貫徹していることが求められるのである。
では、銀行を例にして、本源的リスクテイクの貫徹を考えてみよう。どの事業でも、多くの場合、本源的リスクテイクは自明であって、それが何であるかを問うことは不要だし、問う人もいない。しかし、銀行については、それが何かと問うてみると、現在では、もはや、少しも自明ではないことがわかる。
例えば、融資業務という産業金融の社会的機能を本源的リスクテイクと考えるならば、その原資の調達手段である預金の受入れにかかわるリスクは付随的なものとなり、社債等の発行や、資産流動化等の市場調達手段にかかわるリスクとの相対比較のなかで、適切に制御されるべきものとなるはずである。
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