味覚音痴なメガ銀行
リスクアペタイトフレームワークは、煎じ詰めれば、金融庁が説明しているように、「自社のビジネスモデルの個別性を踏まえたうえで、事業計画達成のために進んで受け入れるべきリスク」の定義に帰着する。「進んで受け入れるべきリスク」だからこそ、リスクに対する能動的なアペタイト、即ち食欲が問題になるのである。
ところが、メガ銀行のリスクアペタイトフレームワークの公表されている記述には、能動的に「進んで受け入れるべきリスク」の具体的記述はなく、現に受動的に受け入れているリスクの管理態勢の説明しかない。なぜか。
巨大な金融グループとして、銀行業以外に、投資運用業、証券業、リース、信託など、多様な金融業を展開し、日本のみならず、日本の外でも、大きな事業展開をしている以上、戦略的に重点分野とする領域において、各社の差別性がなければならないし、また、それぞれの特定の分野、例えば、国内の銀行業においても、対象顧客の絞り込み等、戦略の差があるべきである。そもそも、金融庁が「自社のビジネスモデルの個別性を踏まえたうえで」としている理由も、メガ銀行に対して、「自社のビジネスモデルの個別性」を意識した経営戦略の差別化を求めたからである。
リスクアペタイトフレームワーク導入のきっかけを作ったのは、2008年の世界的な金融危機に対する反省だが、規制当局によって危機の原因の一つとして認識されていることは、大手金融グルー
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