日本の戦後史には、二つの見方があります。一つは侵略戦争の反省から日本は新憲法をつくり、平和国家を築いてきたというステレオタイプ、もう一つは憲法を占領軍の押しつけと批判し、日米同盟を「対米従属」と批判して、憲法を改正して日本の誇りを取り戻さなければならないというルサンチマンです。
しかし事実に即して歴史をみると、どっちの見方にも疑問があります。憲法の草案を書いたのは占領軍でしたが、それを修正して制定したのは日本の議会でした。講和条約のとき憲法を改正するチャンスはあったのに、なぜ日本は見送ったのでしょうか。自民党は憲法改正を党是としながら、なぜ今まで放置してきたのでしょうか。
1960年の安保反対運動は大きな盛り上がりを見せましたが、新条約のどこがいけなかったのでしょうか。1972年の沖縄返還では「核持ち込みの密約」が争点になりましたが、核は持ち込まれたのでしょうか。このとき集団的自衛権の行使を違憲とする政府見解が出されましたが、なぜ集団的自衛権だけが違憲になったのでしょうか。
このように戦後史をめぐる議論にはいまだに強いバイアスがありますが、最近はそれが事実にもとづいて修正されています。今回のアゴラ読書塾では新しい研究にもとづいて戦後史を読み直し、ステレオタイプでもルサンチマンでもない、ありのままの歴史を考えたいと思います。
講師:池田信夫(アゴラ研究所 所長)
テキスト:1冊を数回
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【おしらせ】アゴラ読書塾 池田信夫「戦後史を疑う」
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