8年程前、朝日新聞出版より上梓した拙著『逆境を生き抜く名経営者、先哲の箴言』では、何人かの経営者の言を御紹介しました。偶然にもサラリーマン経営者の言は殆どなく、松下幸之助さんや本田宗一郎さんといった創業経営者の言が殆どでありました。
創業者とサラリーマン社長とは、私は全く異質なものだと思います。ゼロから業を起こし創り上げて行くプロセスと、既に出来上がったものをベースにしながら発展させて行くプロセスとでは、どちらが偉いとか偉くないとか良いとか悪いとかは別にして大きく異なるものだと思います。
創業社長は大抵10年以上の長きに亘って経営トップの任に当たっており、2期4年や3期6年といった任期で務めるサラリーマン社長とは全く違っています。サラリーマン社長の場合は、自分の任期中に恙無(つつがな)く、大過なく過ぎればよしということでしょう。綿々と受け継がれてきた経営を、少なくとも任期の間は失敗せぬように会社運営に当たるわけです。
片や創業者の場合、その創業から現在に至る迄のプロセスの大部分は、自らが知恵を出して事業の種を蒔き、リスクを引き受け汗をかきながら創り上げてきたのです。勿論、英知を結集するということも出来る範囲でやりますが、非常に限られた人材しかいない中でそれをやり、全責任を自分が背負いディシジョンメイキングして行かねばなりません。
サラリーマン経営者というのも沢山の役員がいて分担する
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創業と守成
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