金融における究極の問い
金融は、普通は、企業に対する金融、即ちコーポレートファイナンスである。さて、資金を調達する企業には、資金使途、即ち目的、片仮名でいえばオブジェクトがある。現代の金融技法は、オブジェクトを独立させて金融の対象にするところへまで進化している。これがオブジェクトファイナンスだ。オブジェクトファイナンスの利点の一つは、企業統治改革である。
もしも、極めて有能な企業財務責任者(CFO)がいて、コーポレートとして調達した資金を、各事業部の各活動に対して、最適な資本費用で最適な金額を配賦することができれば、財務的側面における最適な企業統治が実現するであろう。しかし、そのようなことは、人間社会において、人間のなす行為としては、特定事業を営む小企業でのみ可能なことであって、通常の企業においては、物理能力的に、また組織工学的に、不可能である。
それに対して、コーポレートでの調達を、各事業部の各活動におけるオブジェクトファイナンスに切り替えたら、各オブジェクトファイナンスは単純な構造をもつので、その最適性を実現することは困難ではなく、結果的に、コーポレート全体の資金調達の最適性も実現しやすくなるはずである。
また、オブジェクトファイナンスを徹底的に推進すれば、どうしてもコーポレートに残らなければならない最低限の資源、まさに企業を支える競争力の源になるものが明確になる。例えば、空運業においては、航空機の
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