書評「仕事消滅」
仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること (講談社+α新書) [新書]
鈴木 貴博
講談社
2017-08-18
「AIで仕事が消える」という話はあちこちで耳にするけれども、具体的にどういう仕事がどういう具合に消えていくのかを具体的にイメージしている人は多くはないだろう。なんとなく、かつて90年代にITの普及で事務作業が効率化したごとくに、単純な作業から置き換えが進んでいくシーンをイメージしている人が少なくないはず。
そう言った人たちに、本書はなかなか衝撃的な現実を、しかも非常に分かりやすく説明してくれる。
本書では、AIを搭載したロボットの普及により「20年以内に日本では49%の仕事が消失する可能性がある」とするオックスフォード大の論文をベースに議論が進められる。※
以下は、印象に残ったポイントだ。
知的作業から先に置き換えられていく
ロボットの開発は「足・脳・腕・顔・手の指」の5要素がパラレルで進められているが、実際にはおそらく「足→脳→腕→顔→指」の順で開発が進んでいくことになる。囲碁で人類を打ち負かした囲碁AI「AlphaGo」を見ても明らかなように、脳は比較的簡単な方であり、ファンドマネージャーやトレーダー、パラリーガルや外来医師といった職業は実は真っ先に置き換えられる可能性が高い。
逆にもっとも開発難易度の高いのは繊細な指の動きで
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