ある芸能人が、奄美空港で半身不随の乗客が自分でタラップを登らされたことに対して、「『手で上がって行くのを見てらんないじゃん』と再度訴え、航空会社側が『分かりました。規則ではダメだけど、上げますから。内緒にしてくださいね』というルール違反をなぜできなかったのかを疑問視」と出ていた。じっと見守っていた職員に良心がないとまで言及していた。この件で、航空会社が一斉にメディアに叩かれていたが、会社の対応は褒められたものではない。しかし、現場の職員にとっては、現実は単純ではないと思う。
今では、ドクターヘリや救急車に医師が同乗することは、日常のこととなったが、私が救急医療医として勤務していた頃は(約40年前に大昔の話だが)、医師の救急車の同乗は行われていなかった。私は当時の上司に「同乗して、現場で治療を開始できれば、救命できる可能性が高まる場合もあるので、OKですよ」と言ったところ、「救急車が事故を起こして、君が外傷を負ったり、それによって後遺症を残した場合の補償制度がないので駄目だ」と言われたことを覚えている。使命感や正義感と現実にはギャップがあるのだ。
上記の奄美空港の場合、人(同行者や職員)が抱えて乗客を引き上げる時に、何らかの事故があった場合、あるいは、職員が腰などを痛めた場合に誰が保証してくれるのかも定かではないのに、安易に規則を冒してでも助けるべきだというのは綺麗ごとに過ぎないと思
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綺麗ごとと現実の狭間
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