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「諸行無常」「諸法無我」と記号の概念 — 伊藤 将人

経済ニュース
奈良の大仏(写真AC:編集部)
私自身、極めてライトな仏教徒にあたるのだが、仏教思想の基本概念である「諸行無常」「諸法無我」と数学や文学の基礎となる記号の概念の対比について考えてみたい。
仏教思想の基礎
仏教思想の基礎として「諸行無常」「諸法無我」「涅槃寂静」という三法印があげられる。専門家ではないので簡単な記述になるが、「諸行無常」とは、すべては変化していることを表し、「諸法無我」とは、自分と自分以外という区分を否定し、「涅槃寂静」とは左記2つを自覚した状態は安住であることを表している。本稿で注目する「諸行無常」「諸法無我」を換言すれば、自己という存在も含めて、時間と空間は絶えず変化し、全く同じ状況ということはありえない、すべてのモノが流転する世界の様子を表しているといえるだろう。
記号の概念
世の中には記号があふれている。しかし、記号が前提とする世界観は仏教思想の概念と大きく異なる。記号の代表的なものは数字と文字である。どちらも世界をなんらか区別する為に作られたものである。文字は「世界から物質や概念などを区別するための記号」であり、「数字は記号を数えるための記号」である。たとえば、世界からあるものを区別し、それに「りんご」という記号を割り当て、その「りんご」に1という記号を割り当てることなどがあげられる。数学も文学も、普段私たちが認識する世界観や科学的な思考も基本的にこのような

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