任命責任という首相の軽々しい詫び方
神妙な面持ちで今村復興相の辞任について記者会見する安倍首相(首相官邸サイトより:編集部)
またも首盗り物語で幕引き
「東北でよかった」という軽率な発言で、今村復興相が更迭されました。この人物の軽薄さはさんざん批判されていますので、ここでは任命権者の責任とは何かを考えてみました。安倍首相は「任命責任は私にある。心から国民の皆様にお詫びする」と、発言しました。何度、この言葉を聞かされたことでしょうか。
憲法第8条には「内閣総理大臣は国務大臣を任命する」とあります。首相が「任命責任は私にある」と述べたのは、この条文から由来します。厳密に言えば、言えるのは「任命権は私に」までで、「任命責任」とは別ものです。首相が好む「任命責任」とはなんでしょう。任命権の意味ははっきりしていても、任命責任とは何を指すのか聞いたことはありません。
ついでに言うと、憲法第68条には「総理大臣は国務大臣を罷免することができる」とあります。大臣の任命権、罷免権は首相の専権事項(形式的には天皇の認証を経る)です。ですから、「不祥事や舌禍事件を起こした大臣を罷免することで、任命責任を果たす」との主張が聞かれます。政界もそう考えているようです。本当にそんな程度の話で済むのですかね。
朝日も問題意識が足りない
いつも首相に厳しい朝日新聞は、「首相即決、深くお詫び」(27日朝刊)と書き、首相の行動を評価している
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