なぜ農業生産に留まらず、加工品販売や農家レストラン、さらにはどぶろくの製造まで手がけているのか。
それは、「食べたいものをつくる」という蒜山耕藝のスローガンに基づいている。自分がこの土地で育ったものを食べたいから。それは揺るがない。同時に、これは「生存戦略」でもある。農業だけで食べていくのは難しいぶっちゃけ、自然栽培で新規就農し、いきなり生計を立てるのはほぼ不可能だ。米でも野菜でも、収量の確保や販路の開拓など、現実は厳しい。さらに、この中山間地域の未来を考えたとき、たとえ自分が一農家として成り立ったとしても、周囲のプレイヤーが減って地域自体が成り立たなくなってしまったら、元も子もない。「売り上げ」と「認知度」をどう上げるかそこで考えたのが、少ない収量でも売り上げを最大化すること。単なる農産物ではなく、加工品にすることで多くの人に届け、蒜山耕藝を知ってもらう。さらに、農家レストランをつくることで、実際にこの土地の恵み、水、空気をリアルに体感してもらう。そうすることで、1000人に1人でもこの地に移住してくれたら。たとえ移住につながらなくても、どこかで就農したり、誰かの決断の後押しになるような活動になればと思ってやってきた。続けてきた結果、実際に移住のきっかけになった人もいる数年間は米作りの技術向上や生産量の増加にはつながらなかったが、この取り組みを続けたことで、多くの人に知ってもらえた。そして、実際に移住のきっかけになったケースも出てきた。「生存戦略」といっても、やったことはシン
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