松本清張賞で惜しくも大賞を逃した作品。しかしその可能性を感じて出版されることになったという。この本は新しいお仕事小説のジャンル、ビジネスミステリ、そして会社ミステリの新星だ。新規事業企画が親会社でのプレゼンで潰されてしまう。その原因を探っていくプロセスがミステリ的。パワフルで猪突猛進の主人公がチャーミングだ。個人的に共感できたのは、私にもちょっとした新規事業の立案の経験があり、その時のことを思い出したからだ。テレビはネットに押されてお先真っ暗、何か他のフィールドに手を伸ばさないと放送局の未来はないということで、社内で新規事業企画のプロジェクトが設立された。そのメンバーとして企画を立案し、社外に出資企業も見つけ、億を超える出資の約束も取り付けた。しかしそこから社内の風向きが変わってきて、突然その新規事業は取り下げになった。そのあたり、さすが昭和の企業だというほかない。非常に良くできた新規事業案で、しかも他の企業ではやれないという優位性もある。お金の目処もついている。「もったいない」と出資社には言われた。しかし会社なんてそんなものだ。タイミングもあるし、関わる人もいる。そう感じで静かにその企画をクロージングした。出資会社には最後まで訝られたが、「昭和の会社なんで」と説明するとかろうじて納得してもらえた。続きをみる
Source: Note 起業ニュース
コメント