データと知恵で政策をデザインする、株式会社Public dots & Company
「末は博士か大臣か」。かつて日本では、将来を嘱望される子供たちに向けられたこの言葉は、大臣という存在が「未来の舵取り役」として、大きな期待を背負っていたことを物語っています。しかし、時代は変わり、今、私たちは大臣の役割、ひいては社会を牽引するリーダーのあり方について、改めて問い直す時期に来ているのではないでしょうか。先日、アメリカでスコット・ベッセント氏が財務長官に指名されたことは、その問いに対する一つの示唆を与えてくれます。ウォール街で長年世界経済を見つめてきた投資家である彼が、政治の世界を経ずに要職に就いた事実は、市場経済のダイナミズムを熟知した人物への期待の表れと言えるでしょう。伝説の投資家ジョージ・ソロス氏のファンドで最高投資責任者を務めた経歴を持つベッセント氏は、「市場経済の力学」を肌で感じてきた人物です。アメリカではこれまでも、財務長官に市場経済に精通した人物を起用する傾向がありました。前政権のムニューシン氏もウォール街の投資銀行出身、現政権のイエレン氏もFRB議長として金融市場と対話してきた人物です。世界経済が協調から対立へと傾きつつある今、市場経済の中で巧みに立ち回れる政策を打ち出す必要性は、ますます高まっています。翻って日本を見ると、政策決定において市場関係者よりも学者の意見が重視される傾向があります。「自分の理論は間違っていない。日本の市場が特殊なのだ」という言
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