なぜ日本ではFit to standardが上手くいかないのか?
はじめに近年、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、基幹システム刷新における Fit to Standard アプローチが注目されています。Fit to Standard とは、システムの標準機能に業務プロセスを適合させることで、導入期間の短縮やコスト削減、運用負荷の軽減などを実現する手法です。欧米企業では広く普及している一方 1、日本では導入に苦戦するケースも少なくありません。コロナ禍から業績回復している日本企業においては、DX投資を拡大する動きが見られますが、大きく2つのパターンに分けられます 2。1つ目は、工場レベルにおける「ものづくり」のやり方を変えるOTイノベーションです。例えば、テスラのギガプレスやトヨタ自動車のギガキャストのように、大型設備による生産改革で工程の集約と作業時間の大幅な短縮といった即効性を狙うものです。2つ目は、全ての業務プロセスをシステムでデジタル化し再構成・最適化する「アナログ→デジタル化→データ活用」によるボトムアップ型のITイノベーションです。紙やExcelによるアナログ業務をシステム化し、そのデータを収集・蓄積・活用するデータプラットフォーム構築から始めます。Fit to Standardは、まさにこのITイノベーションのスタート地点といえます。経済産業省の「DXレポート」では、レガシーシステムを利用し続けることで、202
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