オムニコム(Omnicom)が同業のインターパブリックグループ(Interpublic Group、以下IPG)を株式交換で買収するー。12月8日の日曜日、米紙ウォールストリートジャーナル(Wall Street Journal)がこの時価総額300億ドル(約4兆5000億円)の買収提案について報じると、業界は蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。大型案件といえど、完了は2025年秋ごろの見込みだ。それにもかかわらず、メディアや広告関連の業界各紙は皆一斉にこのニュースを報じた。
そこで本稿では、この買収をめぐってすでに起きていること、これから起こりうること、そのプラスの側面、マイナスの側面について、長期的な視点で考察を試みたい。現在メガエージェンシーグループのなかで第3位につけるオムニコムはこの買収によって第1位に躍り出る。高度1万フィートから俯瞰したとき、この買収をめぐる考え方は大きく2派に分かれるようだ。
2派のうちの一方は、規模拡大は不可欠であり、オムニコムは事実上、生き残りをかけてこのM&Aを実行せざるを得ない(そしてIPGの最近の苦境を考えれば、買収先と
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