妖しく愚かしいオーディオの仕組み
業界の冷え込みに伴い、オーディオ雑誌も数が減ってしまったが、相変わらず年末頃になると、今年のオーディオ製品ベスト10とか、ベストバイといった企画が見られる。「今年の」といっても、昨今、年間に新たに売り出される新製品など数が知れている。何年も前に出た商品が繰り返し顔を出しているだけで、年度が変わった実感のない、ただ惰性でやってるだけの企画に堕している。 こうしたベスト10は、価格帯別になっているのが殆どだが、以前から気になっているのは、例えば10万円以下の価格帯の最上位の製品と、10万〜20万円の価格帯の最下位の製品では、どちらが良いのか?ということが全く書かれてないことだ。10万円以下の価格帯のベスト1である9万5千円の機種は、10万以上20万円以下の10位にランクする10万5千円の機種に劣るのか?勝るのか?これは実際に購入する際には大変重要な問題ではないのか? 昔は大きなオーディオ屋で、オーディオ評論家の講演会が催されることがあり、私もよく参加したが、これは大概、単なる講演会ではなく、評論家が関係するメーカーの製品の売り込みであった。ひとしきり真面目なオーディオ論を展開した後に「……と言った観点から、私が今、最もお勧めするのは、このスピーカーであります」という流れになる。解説付きの販売なのだ(また、その口車に乗って、買う人が結構いるのだ)。 そうした講演会で、ある参加者が「あな
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