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挑戦の先にある未来

「われわれが、新会社をスタートさせた時は、工場は間借りだし、設備だって貧弱極まりないものでした。正直言って技術だって自慢できるほどのものじゃない。従業員の給料も安ければ、福利厚生設備だって無に等しい。だいいち、いつつぶれるかもわからない。会社といったって、不安定極まりないものです。もちろん、会社のネームバリューもゼロに等しい。要するに、物質的要件はなにもない。何の保証もない。こんな状態で、従業員を雇って、“働いてくれ”なんてことが言えますか?とても言えません。少なくとも私には、とても言えなかった。しかし、現実にはガムシャラに、ムチャクチャに働いてもらわなければならない。そうしなければ名もない、実績のない会社など、たちまちにつぶれてしまう。では、どうすればいいか?」創業3年目の1962年。そう述べた男は、単身アメリカに旅立った。しかし、何ら成果のないまま帰国。そして、またアメリカに渡るものの、失意のまま帰国。三度目の渡米で、ようやく成果を得ることになる。断られても断られてもあきらめない。「何とかしなければならない。」そうして、何十番目かにあたったのが、インストゥルメンツ社だったのです。インストゥルメンツ社は、ちようどアポロに使う抵抗器のために、特別に信頼性の高い部品を探していました。元来アメリカの会社は、コネなし、有名無名を問わず、実にフランクに対応してくれると言います。このときも過

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