マネーゲームの「手駒」にされる起業家たち 経営学者が指摘するエコシステムの落とし穴
趣味やスキルを活かした低投資・低成長・低関与の「そこそこに稼ぐ」ことを目指す起業スタイルに注目した「そこそこ起業(ライフスタイル企業家)」。本イベントでは、東京都立大学大学院経営学研究科准教授の高橋勅徳氏が登壇。今回は、エコシステムの落とし穴や幸せな働き方を実現する新しい起業スタイルについてお伝えします。
エコシステム内のマネーゲームの「手駒」にされる起業家たち
高橋勅徳氏:企業家を巡る悲しい落とし穴がなぜ生じるのかというと、近年の流行りのビジネス用語で言う「エコシステム」が原因になっています。産業内のステークホルダーの集合体として形成されるエコシステムの中では、ある種のマネーゲームが行われている。そのマネーゲーム内の「手駒」として企業家はいるんだと。その結果、起業して不幸になる人達がたくさんいるということが、実は近年の企業家研究で言われている問題です。もちろん、会社を立ち上げる時にどうしても資金が必要になってくる。お客さんを集めるためにも、お金を集めるためにも、エコシステムの内側で全力で企業家を演じなきゃいけない。みんなが求める手駒を全力で演じて、初めて企業家になれるというのが、ITやバイオなどのハイテクベンチャーの現実であったりします。「果たしてそれは幸せなんですか?」と言われるようになったのが、近年の企業家研究です。僕が23歳の時に初めての研究計画を書いている時に、
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