【読書録】「Q&A 事業性融資推進法と融資実務のポイント-企業価値担保権」弁護士 冨川諒著・ビジネス教育出版社
まずは、非常に読みやすい。平易な文章、表現で素直に読めば、ルールの全体像が見えて来る。今年の6月に成立した事業性融資推進法と、その中核を占める企業価値担保権については、著者の冨川弁護士から直接セミナーでお話を聞く機会があった。お盆前の酷暑の時期にもかかわらず多数の参加があり、遠隔地からの出席もあり、金融機関についてはリスク管理部門の関係者が多く出席していた。金融以外の関心も高く、モニタリングの頻度や方法なども含め活発な質疑応答があった。講師の冨川弁護士が、実際の質疑の内容を汲み、わかりやすく書き下ろしたのがこの本であると思っている。私はと言えば、当然対抗要件(登記)絡みで出席していた。企業価値担保権は登記が効力要件であり、商業登記簿への記載が対抗力を有するということは、実務上会社謄本の扱いが変わってくることとなり、我々の仕事も大きく変わって来る。この変化をいち早く、実体と抱き合わせで取引先に説明する必要があると考え、会場でも出席者の発言に注意深く耳を傾けていた。実際に融資を行い、担保権者となる金融機関は、やはり神経を遣っているのが感じられた。不動産担保と異なり、使用場面はかなり限定されることが感じられるやりとりもあった。一言で「金融機関と事業者が緊密な関係を保ち、事業価値の維持・向上を目指す」と言っても抽象論・理想論の域を出ることなく、深読みしすぎるとかえって暴走する破目になるよう
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