日立造船は30日、およそ80年掲げた社名を下ろした。日立製作所グループでも造船業でもなくなり、脱炭素技術を事業の核とした会社をめざし、10月1日付で「カナデビア」に改める。ところが、歴史的な日を目前にして船舶用エンジンの燃費や排ガスのデータ不正が発覚し、環境企業としての再出発に水を差した。記事を要約すると共に所感を述べたい。
新社名のカナデビアは、脱炭素技術で人類と自然の調和を「奏でる」目標と、道を意味する「ビア」を組み合わせた造語だ。
日立造船の歴史は、1881年に英国の実業家、E.H.ハンター氏が船舶の建造・修理などを手がける「大阪鉄工所」を設立したことに始まる。
1936年に日立製作所の系列に入り43年に現在の社名となったが、終戦後の財閥解体で47年に日立系列から外れた。
国内初のタンカーを建造するなど技術力は高く、70年ごろまで造船事業は隆盛だった。やがて韓国・中国勢との競争に苦しむようになり、2002年に事業を切り離した。
造船などを縮小する一方、事業の柱にしてきたのがごみ焼却施設などの環境装置だ。現在は売上高の7割を占める。
人口減が進む日本ではごみ焼却の需要減が見込まれるなか、海外市場の開拓とともに脱炭素技術の事業化に力を入れてきた。
社名の刷新には近年苦戦する採用をテコ入れしたい狙いもある。
手を打ちつつあった変革に水を差したのが、7月に発覚した船舶用エンジンの燃費
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