ほとんどの企業が、隣接分野や話題の成長分野に進出すれば成功確率は高いと考えているが、必ずしもそうではない。隣接分野に要求されるケイパビリティは似て非なる場合が多く、成長分野は単に潜在的な市場規模だけで判断し、ケイパビリティを軽視しがちである。ウォルマートの強さの秘密は、サプライヤー管理、POSデータ分析、ロジスティックス、運転資本管理という4つのケイパビリティが卓越しているだけでなく、これらが一体化となってバリューチェーン全体のコストを低下できるところにある。このように、複数のケイパビリティが一つのシステムとして働くことで得られる優位性を「共通性のプレミアム」と呼ぶ。とりわけ成熟市場では、このケイパビリティ・システムの優劣と財務業績の相関性が高い。本稿では、ウォルマート、ファイザー、コカ・コーラ、リグレー、コンアグラ、アンハイザー・ブッシュなどの事例を紹介しながら、ケイパビリティ・システムを構築し、共通性の力を発揮させるための要件を解説する。
Source: ハーバード
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