有望な人材を次々にさまざまな機能部門や事業部に異動させ、さまざまな経験やスキルを積み重ねさせる流動性重視のリーダーシップ開発プログラムは、成功事例も多いが、弊害もある。たとえば、ある大手消費財メーカーでは、およそ16カ月に1回という頻繁な異動のために設計・生産・マーケティングなどのコア・プロセスがおろそかになり、高度な専門知識の蓄積が難しくなった。一方、マリオット・インターナショナルでは、世界に展開する事業の性格から、流動性をうまく活用して、幹部要員の人材プールをつくり上げている。この成否を分けたものは何か。自社の事情をよく見極め、それに戦略をマッチさせたことである。人材育成のニーズに対応した流動性の種類、対象者、頻度などを特定し、必要なデータ(人事データのみならず、財務データや営業データも)を適切に分析したうえで意思決定することが重要なのだ。
Source: ハーバード
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