その昔、政治制度が未成熟な新興国への投資においては、外国人所有の資産を没収する収用リスクが最も懸念されていた。この収用リスクはほぼゼロにまで減少したが、新興国はもっと油断のならない規制による支配によって、外国企業が得るリターンを減らすことを企てている。これを「政策リスク」と呼び、メディアの報道件数を見る限り、大幅に増加している。企業側も法的な契約や保険、金融商品などを用いて、これら政策リスクのヘッジに努めている。しかし、鉄壁の契約を取り交わしても、社会情勢の変化や政権交代などにより、契約が無効になることもある。また保険や金融商品も十分とは言いがたい。ここで注目されるのは、別の観点からのリスク・マネジメントである。相手側の新興国の政策を味方につけたり、人脈を築いたりする手段のほか、さまざまな情報源からデータを得て、それを正確に分析する技術が役に立つ。データマイニングや自然言語解析ソフト、ゲーム理論に基づいた期待効用モデルなど、現代の技術を駆使することが、政策リスクの管理につながる。
Source: ハーバード
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