独バイエルの子会社バイエル マテリアルサイエンス(BMS)のアメリカ法人の社長兼CEOを務めるグレゴリー・ベイブは、業績は比較的好調だったにもかかわらず、ピッツバーグの本社部門の閉鎖を告げられた。化学業界は、業績が景気循環より需要動向に左右されるいわゆる構造不況業種だが、この北米本社は、不景気になると小手先のコスト削減で乗り切り、一段落すると元に戻るという悪循環を繰り返し、そのせいで間接費が膨らんでいた。しかしベイブは、この死刑宣告を受け入れるのではなく、変革によって利益を持続的に生み出す組織に再生することを約束し、逆に7000万ドルの予算を引き出した。彼は、ジョン・コッターの「8段階の変革プロセス」に倣って全社改革を推し進め、ビジネスプロセスの再設計、アウトソーシングによるサプライチェーンの主要プロセスの変動費化、販管費の25%削減、新しい組織能力の獲得といった成果を、わずか1年半という短期間で、しかも当初予算を1000万ドル下回る支出によって実現し、構造不況の罠から抜け出した。
Source: ハーバード
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