洋の東西を問わず、企業の不正取引、贈収賄など不祥事のニュースは後を絶たない。そのなかで、インドのIT企業、インフォシスは時代を先取りして、N. R. ナラヤナ・ムルティのリーダーシップの下、収益や雇用の拡大よりも「尊敬される企業になること」をビジョンに掲げて、成長を遂げてきた。どれほど素晴らしい理念であっても、現実社会の力学の前には、ビジネス上の不利益を避けるために、価値観を曲げる誘惑と戦わざるをえないことがある。インフォシスも例外ではなく、その信念を試される経験を何度も経てきた。くわえて、企業が大きくなるほど、内部の規律を守ることは難しくなる。ビジネスチャンスや利益を犠牲にしても、断固たる姿勢を貫くことで評判を形成し、競争力をつけてきたインフォシスだが、大所帯となったいま、大切にしてきた価値観を守るための苦闘は続いている。組織内に価値観を浸透させるには、制度や環境の整備だけでなく、何よりも経営陣が率先垂範していくことが不可欠である、とムルティは語る。
Source: ハーバード
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