国家の成功の尺度は長い間、国の経済産出量のドル換算額、すなわち、当初はGNP(国民総生産)、後にはGDP(国内総生産)で表されてきた。これは、かつての軍事的勝利によるランク付けよりも優れた方法だった。しかし現在、GDPは攻撃の的になっている。その批判は次の3つに集約される。(1)GDPはそれ自体欠陥のある指標である、(2)持続可能性や持続性を考慮に入れていない、(3)進歩と開発の測定には別の指標のほうが優れている場合がある、というものである。他方、心理学的研究を重要視する行動経済学が台頭し、経済学者と国家のリーダーたちは、国の状態を別の基準で、しかも「幸福」のような曖昧とも思える概念で測定しようと試みている。たとえば、UNDP(国際開発計画)のHDI(人間開発指数)の取り組みや、GNH(国民総幸福量)の最大化に熱心なブータン王国の例などが挙げられる。このように、GDPの代替案について各界で真剣な議論が高まっており、経済政策に実際的な影響を与えるようになるかもしれない。
Source: ハーバード
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