アメリカが主導してきた民主主義的資本主義のシステムがいま、曲がり角に来ている。アメリカ国内の経済格差の拡大、財政規律の不徹底、投資に消極姿勢を見せる企業などを、世界各国は憂慮している。しかし、どの国も相互依存関係にあるため、アメリカの競争力の低下を望んでいるわけではなく、その再生に期待している。2011年秋にハーバード・ビジネス・スクールで開催された、産官学を交えたシンポジウムでは、法規制、コーポレート・ガバナンス、労働力、地域問題、学校教育など、アメリカが直面する課題について活発な議論がなされた。いずれも昨今の不況が終われば解決するというものではなく、根深い長期的な問題ばかりである。企業に求められるのは、政府の出方を待つだけでなく、競争力を生み出す環境づくりに向けて積極的に関与し、投資することである。他者に責任転嫁せずに、社会全体で競争力を取り戻すための行動を起こす時期に来ている。
Source: ハーバード
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