株主とコーポレート・ガバナンスの問題は、これまでもさまざまな議論を呼んできた。1970年頃から「株主が企業社会の中心にあるべきだ」という考えが生まれていたが、その後の企業の不祥事などと相まって、企業の外にいる投資家にもっと発言権を与えるべきだという要求につながっていった。しかしこの株主優先という考え方は短期的な業績を重視する経営手法に結びつくなど、弊害もあり、株主による健全なガバナンスはなかなか実現していない。本稿では、株主の3つの役割──企業への資金の提供、公平で健全な情報の流通、企業による規律遵守の監視──について、それぞれ歴史的な背景、現在の状況や問題について論じながら、新たな枠組みと変革に向けた提言をする。株主だけでなく、すべてのステークホルダーへの配慮が求められるようになった現在、株主の真の役割を問うている。
Source: ハーバード
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