日本企業のガバナンスと株主⑤
前回に引き続き、先日受講したコーポレートガバナンスに関するWebセミナーの登壇者(企業年金を運用する方)が日本企業のガバナンス上問題視していた「政策保有株式」に関してコメントしており、これに関して意見を整理したい。【日本企業のガバナンス上の問題点③:政策保有株式】要旨日本企業の経営者の中で、「政策保有株式を持つことの何が悪いのか」という疑問を呈する経営者がいるが、政策保有株式は安定株主の「温床」であって「株主平等原則」に違反するものであると考える。政策保有株式があると、必然的に一般株主による議決権行使はまったく意味をなさない。投資家はスチュワードシップコードのために議決権行使を行うに過ぎず、エンゲージメントも意味が薄れてしまうことから、スチュワードシップを履行しているとは言えない。また以前から徐々に改善されてきたとはいえ、政策保有株式の持ち合いは、単なる株式持ち合いではなく、一方的に「持たせる」力関係が未だに存在し、隷属関係による株式保有が常態化しているのだ。ビジネス関係を構築・維持するために、売りたくても売れず、売りたいという希望すら言えない、あるいは売りたいと言っても脅されてしまうのだ。そもそも、現在銀行と一般事業法人はスチュワードシップの対象外だ。政策保有株式もスチュワードとして保有することが求められていないのがおかしいのではないか。日本企業の政策保有株式の比率は少なくとも3
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