プルードンに振り回されてはいけない
とある共同体の労働分配委員会は命じた。一つのネジを作る3時間労働は田中さんに。一つのバネを作る2時間労働は、先週1時間働いた山田さんに。そして、2人の勤勉な労働によって生産されたバネとネジは、前者が「3時間労働生産物」として、後者は「2時間労働生産物」として表示されている。また、田中さんには、3時間とかかれた労働証券が与えられる。山田さんにも先週分と合計して3時間とかかれた労働証券が与えられた。山田さんは公正取引所へ向かった。そこで3時間労働証券を使って、田中さんが作ったバネと交換してもらうのだ。そうして2時間労働分のバネと1時間労働証券を受け取る。一方、田中さんは3時間労働証券を握り締めて、豊かな商品市場である大都市に向かった。街中はどこを見ても色鮮やかだった。商品、商品、商品。どこを見ても、購買欲がそそらせるよう綺麗に商品が飾られていた。田中さんは誘惑されまいと必死に欲望を抑えていたが、それも時間の問題だった。街中を歩いて数分、彼は魅惑的な商品と出会ってしまう。しかし、彼が商品を見ると、そこには彼の知る「労働時間」の記載はなかった。代わりに「資本論2冊」と表示されている。田中さんには、これの意味がわからなかった。とにかく、今は一刻も早くこの商品が欲しい。咄嗟に田中さんは3時間分の労働証券を示して、店員に「これと交換してください」と言った。しかし、店員は呆れた顔をして拒んだ。「こ
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