SNSは私たちの「適応度標示」の見せびらかしの場である~進化心理学とSNSマーケティング
本連載では、電通メディアイノベーションラボ・天野彬氏が、自身の近著や業務で得た知見などから、ショート動画を中心としたSNSマーケティングについての知見を発信していきます。
前回は、ショート動画が流行する理由をTikTokに代表されるサービスの特性や生活者の行動心理から読み解きました。今回はやや角度を変えて、筆者がいま注目する進化心理学(※1)について取り上げつつ、それがソーシャルメディアマーケティングにどう関係するのかを論じます。
実は私たちの根源的なつながりの欲求や「見せびらかし(誇示的消費)」のモチベーションこそが、SNSを駆動していると言えるのかもしれない──そんな仮説に迫ります。
※1 人間の心的活動の基盤が、その生物学的進化の過程で形成されてきたとする心理学の一分野。人類学・社会生物学・認知科学など多くの領域にまたがる学問分野。
ソーシャルメディアと進化心理学
そもそも、人々はなぜTikTokのようなソーシャルメディアを活用するのだろうか。
筆者のこれまでのリサーチ自体がその問いにまつわるものだったといえる。特に2022年の著書「新世代のビジネスはスマホの中から生まれる―ショートムービー時代のSNSマーケティング―」(世界文化社)の第2章では、進化心理学という新進の学問分野をもとに、上記のテーマを論じた。
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