相談事例と天風哲学(事例14) 19
(空調工事業の例-14) 当社は建設業の一環として設備工事業を行っており、特に冷暖房機器の工事を主体とした空調工事業者である。従業員は社長を含めて4名、ほぼ家族的な経営であり、もともと公共工事や民間工事の下請けを主体にしてきた。 しかし、大きな受注額案件を狙うようになり、無理して受注獲得に専念してきた。その結果、大型の受注を確保したが大赤字、慣れない仕事に手を出したつけが回ってきた形となった。 特に自社の労働力では担うことができず、外注先として自社よりも規模の大きい下請け企業など活用したが、その管理が思うようにできなかったことなどが痛手となった。 現在は身の丈に合った小さな工事の受注に専念、1件当たりの受注額は低いが粗利率は大きいため、全体の工事高は縮小したものの資金繰りは順調に推移している。 経営的にみると、自社の実力や能力をオーバーした仕事であったため、十分にこなすことができず問題が生じたのである。目先の売上拡大や規模拡大一辺倒という本来の経営を忘れた結果が、このような状況をつくり出した。 建設業は、大型物件を確保すれば対外的にも自社内でもそれなりの利益確保に近づくという誤った考え方を持っている社長が少なくない。売上高や利益確保を第一の目的とする自分本位の経営は長続きしないという証明である。 天風氏は、「事業をしている人、利欲に迷ってはないか、名聞にとらわれていないか、何
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