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「金融財政政策雑感」no.17

 今、日本の金融財政政策は大きな転換点を迎えつつある。これは誰もが実感として持っていると思う(2023年12月初旬)。知識人、研究者が主催するもしくは参加する多くの研究会が、今、この転換期の政治経済の分析に余念がないのである。少し前まで、黒田前日銀総裁の長期金利誘導付き量的緩和政策の出口は全く見えてこなかった。出口論には絶望感が漂っていたのである。2%のインフレ目標でさえ、達成の見通しは全くたたなかった。つまり、政策目標達成の展望がなかったのである。少なくとも、それが、2019年までの日本経済であった。 それを根本的に変えたのが、2022年初頭から始まるロシアのウクライナへの軍事進攻に始まりその後の局地的全面戦争であった。この戦争がもたらしたのは、グローバル経済の分断化であり、民主主義国家陣営と権威主義国家陣営の対立の激化による新冷戦である。これらの経済効果は、石油、天然ガス、農業生産物及び食料品などの一時産品価格の急騰によるコストインフレの世界的波及である。多くの原材料に輸入に依存するコストインフレに脆弱な体質を持つ日本のような先進国で加速的なインフレが実現した。米国も例外ではない。コストインフレ抑制の処方箋は、直接的には因果関係のない総需要抑制政策で、需要面からインフレを抑制しようとするものである。 この日本を取り巻く政治経済的な環境の変化が、皮肉にも、日銀(政府)のインフレ目

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