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黎明の蜜蜂 (その3)

結菜の口からMMTという言葉が突然出てきたので、真一がちょっと驚いたような顔をして結菜の方を見た。「お、櫻野結菜も知ってるんだ」結菜は驚かれることに残念な気もする。つい先ごろまで一支店の若手として日常業務に追われる身だったから、実際MMTの話は偶然聞いたのだが、やはり銀行員としてそういうことには情報通でありたい。「MMTって、Modern Monetary Theory, 確か日本語訳では現代貨幣理論って言うんでしょ? 何年か前に発表された時はちょっと話題になって、今も賛否両論があるとか」「私は知りません。告白します。現代の新しい貨幣の理論、という話ですか?」環奈は、正直は恥ずべきことではないことを示すため背筋を伸ばす。「うん、MMTって実際的には新しいことなのかどうか分からない話だと思うんだけどね」間島はやや慎重な面持ちで、次の言葉を探した。「まあ、僕に言わせればなんだけど。でもMMT学者ってのは、今まで人が見過ごしていたところをポンと指摘した感はあるのかな」「つまり、自分でお金を刷れるなら借金をいくら重ねたって、返済に必要な分だけお金を刷っちゃえばいいんだもんね、確かに!それなら破産の心配はいらねってこと」「築山くん、そんなのってなんか変だわよ。なんか魔法の杖を持ってるみたいなのって」環奈は真顔だ。「何が変なんだよ。だって、その通りじゃん。お金刷れば払えるでしょ?日銀は刷れるの

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